足のコラム

足音に宿るもの

2025.9.19
  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
  • 写真4

フットエイジング
〜足も老化する〜
第4回/全20回

足の“個性”と運動のはなし

歩くとき、自分の足音がどんなふうに響いているか、意識したことはありますか?
コツコツと乾いた音が響く人もいれば、ほとんど音を立てずに歩く人もいます。あるいは、同じ場所を歩いていても、なぜか「響く足音」の人がいる。そんな違いの背後には、「足の個性」が隠れているのかもしれません。

私たちの足は、みんな少しずつ違います。大きさや幅、アーチの高さ、柔らかさやかたさ、、、それぞれに、まるで“顔”のような特徴があるのです。でも、自分の足がどんなタイプなのかを深く知る機会は、なかなかありません。他人の足で歩いてみることはできませんから、自分の足のクセや弱点に気づくことも、そう簡単ではないのです。

それでも、ふとした瞬間に「足の個性」が表れることがあります。たとえば、蹴ったボールがやたらと飛ぶ人。いつも足音が目立つ人。持久走が苦手なあの子。これらは偶然ではなく、生まれ持った足の構造や動き方が関係していることがあります。

人間の足には、驚くほど多くの骨があります。片足だけで28個、両足合わせて56個。これは、全身の骨の約4分の1にあたります。それぞれの骨がうまく連動することで、私たちは地面の凸凹に合わせて足をたわませたり、必要なときに地面を強く蹴ったりできるのです。

つまり、足は「やわらかさ」と「かたさ」を瞬時に切り替える、とても高度な器官なのです。こうした”柔”と”剛”を併せ持った足の人は、運動時に効率よく力を伝えることができ、パフォーマンスも高くなります。ですが、視力2.0の人が少ないように、理想的な足を持つ人もまた、ごくわずかです。

たとえば「アーチが低い足」、いわゆる扁平足の人(”柔”寄りの足)は、足の構造がもともと不安定です。アーチが低いと、歩いたり立ったりするときに足元がぐらつきやすく、それを補おうとして体は自然と「アーチを持ち上げる方向」に反応します。姿勢を保つため、筋肉や関節が一生懸命バランスをとろうとするのです。
しかし、アーチが低い人の多くは、生まれつき骨格の支えが弱く、いくら体が頑張ってもアーチそのものがしっかりと持ち上がることはありません。つまり「上がらないのに、上げようとし続けている」状態が続くのです。その結果、常に無駄なエネルギーを使い続け、本人は意識していなくても、立っているだけで疲れやすくなってしまいます。

反対に「甲高」で足がかたくなりやすい人(”剛”寄りの足)もいます。このタイプの足は、地面の凹凸に対してしなやかに接地することが苦手です。さらに硬い地面に対しては衝撃を吸収しきれず、足音が大きくなったり、膝や股関節に負担がかかったりします。もっとも、足そのものは硬くて密度が高いため力の伝達には優れており、ボールを遠くに飛ばすのが得意な人もいます。

どちらが「いい足」かではなく、大切なのは自分の足をよく知ることです。
自分の足に合った靴を選び、必要に応じてインソールを使ったり、ストレッチを取り入れたりすれば、足の弱点を補いながら、より快適に、より健康に過ごすことができます。

「歩くたびに痛む」「すぐ疲れる」「音が響く」といった悩みは、もしかしたら足の個性から生まれているのかもしれません。まずは自分の足のこと、少しだけ意識してみませんか?

あなたの足音には、あなたにしかないリズムがあります。
そのリズムを心地よく響かせるために、自分の足と、少し仲良くなってみましょう。

BACK

足音に宿るもの

コメント投稿

メールアドレスは公開されません。スタッフが確認後に掲載されます。
◎投稿確認のメールは届きません。
◎投稿の後、すぐには掲載されませんので複数回の投稿をしないようご注意ください。

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.