フットエイジング
〜足も老化する〜
第2回/全20回
正しい歩行のために整えるべき3つの要素
1日1万歩を目指している人は多いと思います。ただし、歩く本来の目的を忘れ、無理に歩数だけを増やしても意味がありません。歩行とは全身運動であり、足も体も常に三次元的に変化しながら空間を移動しています。このため、足や体幹が不安定なままでは正しい歩行は実現できず、「歩いているつもり」でも、実際には「単に体が空間を移動しているだけ」という状態に陥ってしまいます。
正しい歩行とは、「全身の関節を効率よく最大限に動かし、必要最小限の筋力で地面からの衝撃を推進力へと変換する連続運動」と言い換えることができます。今回は、これに必要な「足の環境整備」「関節の柔軟性」「体幹の筋力」について少し触れます。
まず「足の環境整備」ですが、靴、靴下、インソールの役割を理解して使用することが重要です。詳細は次回以降に説明しますが、ポイントは以下の通りです。
• 靴の踵部分で足の左右の動きを後方から制御する
• 靴紐で足の甲を押さえ、前後方向の動きを制御する
• インソールを活用して足の上下方向の動きをコントロールする
• 靴下で摩擦力を適度に軽減する
これらにより、足は三方向から面で固定され、それぞれが歩行を補助する役割を果たすことになります。
次に「関節」についてです。大股で歩く際、足を大きく前後に広げるイメージを持つ人が多いかもしれませんが、それは誤解です。足だけで無理に距離を稼ごうとすると、過度な負担が足にかかります。正しくは、骨盤を前後に動かすことを意識すべきです。これにより、同じ距離を進む際にも骨盤の動きで推進力を生み、足への負担を軽減できます。
具体的には、右足を前に出すとき、右の骨盤も前に出す必要があります。その際、右の股関節は外旋し、左の股関節は内旋します。同時に、左太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)は大きく伸ばされ、左のアキレス腱も最大限に引き伸ばされます。また、この動作中、左足一本で体を支えるため、腸腰筋を中心とした体幹の筋力や、大殿筋・中殿筋といった臀部の筋肉で骨盤を水平に保つ必要があります。
何か一つでも筋力や可動域が不足すると、他の部位が代償動作を行うようになり、別の箇所に無理な負担がかかります。その結果、痛みや不調を引き起こし、さらに関節可動域や筋力の低下を招き、長い距離を歩くことが困難になってしまいます。
日頃から、正しい歩き方を意識して体を整えていきましょう。
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