「踊り続ける」ために。
クラシックバレエは、身体に特殊な負担を強いる芸術です。怪我が多く起こる部位は足関節(足首まわり)、足指、膝、腰などの下肢・体幹に集中しています。特に成長期において、足首の不安定さや不適切な身体の使い方のまま練習を続けることは、根本的な「動作のエラー」となり、また同じ部位を痛めてしまう悪循環に陥りやすくなります。
長引く痛みや繰り返す故障を防ぐため、単なる対症療法ではなく、「なぜその部位に負担がかかるのか」をバレエの動作分析から紐解き、構造的問題と機能的問題の両面からアプローチを行って、「踊り続けられる」ためのサポートをします。
対応疾患
足関節の靭帯の損傷・緩み
- 前距腓靱帯損傷
- 踵腓靱帯損傷
- 三角靱帯損傷
- 足関節捻挫後遺症
- 足関節不安定症
インピンジメント(衝突による痛み)
- 足関節前方インピンジメント(骨棘・滑膜炎)
- 足関節後方インピンジメント(三角骨・距骨後突起)
腱の炎症
- 長母趾屈筋腱炎
- 腓骨筋腱炎
- 後脛骨筋腱炎
その他
- バレエ中の足・膝・股関節の痛み全般
治療内容について
本外来では、バレエによって生じた障害の根本改善と再発予防を目的に、多角的なアプローチを実施します。
医師が痛みの部位や症状を丁寧に確認します。特に「足関節の内側・外側の安定性」と「前方・後方のインピンジメント」に着目し、必要に応じてレントゲンや超音波などの画像検査を行います。
加えて、理学療法士が姿勢や動作のクセ、骨の配列や筋力バランスを詳しく分析することで、ケガの原因を総合的に捉えます。
ダンサーの身体には、一般のスポーツ選手とは異なる独自の負荷がかかります。高い可動域、反復する着地衝撃、爪先立ちによる足部への集中荷重など、バレエ特有の動作特性を理解した上で診療にあたることが、正確な診断と根本的な改善につながると当院は考えています。
理学療法士連携
姿勢・骨列・筋力バランスを詳しく分析し、ケガの原因を総合的に把握します。
バレエ特有の理解
高い可動域、反復着地、爪先立ちなど、バレエ特有の動作特性を踏まえて診療します。
足専門医療機関ならではの立位レントゲン撮影
立った姿勢のままレントゲン撮影ができる設備を整えています。実際に荷重負荷がかかった状態での足の状態を正確に捉え、わずかな関節のズレやアーチの崩れ、インピンジメントを視覚化します。ポワントやルルベといった極限の負荷がかかる瞬間の痛みに、構造的な裏付けを持ってアプローチできるのが当外来の強みです。
リハビリテーション
プロのダンサーから健康増進目的の方まで、身体機能や回復段階に応じて個別プログラムを立案します。
Phase 1
疼痛管理期
炎症コントロール・荷重管理。物理療法・徒手療法で疼痛軽減。
Phase 2
機能回復期
足関節安定性の獲得。足部内在筋トレーニング・固有感覚訓練を開始。
Phase 3
動作回復期
バレエ特有の動作を段階的に導入。ルルベ・プリエ→片脚動作・ジャンプへ。
Phase 4
再発予防期
動作フォーム確認・自主トレ確立。セルフケアの習慣化で長期的な再受傷リスク軽減。
手術療法:低侵襲な内視鏡手術
保存療法で改善が見られない場合や、構造的な問題が大きい場合には、手術による治療も検討します。当院の東山医師が行う手術は、内視鏡を用いた低侵襲な方法のため、傷跡が小さく、身体への負担や痛みも少ないのが特徴です。
靭帯再建術
緩んでしまった靭帯を、ご自身の薄筋腱を使って再建します。小さな切開から関節鏡を用いて行うため、傷跡が目立ちにくく、術後の回復も早い傾向にあります。
再建した靭帯は正常よりもむしろ強固であり、術後2〜3ヶ月で骨にしっかりと固着します。この強度が、早期の舞台復帰と、不安のない元気なパフォーマンスを支える基盤となります。
三角骨摘出術
ポワントやルルベの際に足関節後方で衝突(インピンジメント)を起こしている過剰骨を、内視鏡下で的確に除去します。
正常組織をなるべく保護しながら、周囲の炎症組織もきれいに除去できるため、術後早期からのリハビリテーション移行が可能です。
東山医師独自の鏡視下再建術
東山医師の執刀する手術は、海外の専門雑誌(Arthroscopy Techniques)にも掲載され、国内外の論文でも多く引用されている手法です。
解剖学的に合理的な設計
前距腓靭帯(ATFL)だけを再建する場合と、踵腓靭帯(CFL)も同時に再建する場合で、作るべき正確な骨孔の解剖学的位置は異なります。東山医師は、解剖学的に正確な位置を見極め、骨への負担を最小限に抑えながら手術を行います。必要に応じて内側の靭帯も同様に丁寧に治療していきます。ダンスパフォーマンスを左右する靭帯を正確な解剖学的位置で妥協なく再現して再建します。
安全な腓骨骨孔作成法
足関節の外側にある腓骨は細い骨です。そのため、骨に孔を開ける際には、レントゲン透視で確認しながら、ガイドワイヤー(細い針金)を慎重に挿入し、正確な位置と安全な角度で骨孔を作成します。
圧倒的な靭帯強度の追求
強固な初期固定
40〜50kgの引き抜き強度があるスーチャーアンカーを骨孔の奥に設置し、アンカーを使用できない部位には初期固定力の高いネジを使用することで、術直後から極めて高い固定強度を確保します。なおネジはチタンなどの金属ではなく数年かけて骨になる素材のものを使います。
腱による再建
正常な靭帯の強度は約15kg重程度ですが、ご自身の薄筋腱を2〜3つ折りにして用いることで、それを大幅に上回る強度を確保します。「捻挫しにくい・切れにくい靭帯」の再構築を目指します。
※腱採取による筋力低下を心配される方も多いですが、安定した足首でトレーニングできるようになることで、術後の筋力は術前より改善することが多いです。
可動域の獲得と回復
ダンサーは一般の方よりも大きな足首の底屈可動域(すねからつま先までのライン:180度以上)を必要とします。これがダンサーにとっての正常であり、この可動域が制限されると美しいポワントができなくなるため、ダンサーにとっての生命線といえます。
東山医師の再建術ではダンサーの最大底屈位で靭帯を固定するため、可動域を確保しながら靭帯を治すことができます。従来の縫合術では得られなかった可動域を確保しつつ、強固な靭帯で固定するため、早期から可動域訓練が可能となり、安心してトレーニングに復帰できることが特徴です。
手術後のリハビリテーション
ダンサーの中でも筋力・柔軟性などのフィジカルや組織回復の速さには個人差があるため、個々に応じてプログラムを微調整しながら行います。身体機能によっては3ヶ月でステージ復帰できる場合もあります。
担当医

東山 礼治 医師
足のクリニック表参道
月曜日・日曜日 診療
バレエ外来のご予約
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リハビリテーション受診時には、普段使用している「バレエシューズ」および「トウシューズ」をご持参ください(磨耗具合やアライメント確認のため)。
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