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Super FIXSORB® Screw を用いた外反母趾手術
ー Chevron 法 ー

足のクリニック表参道 桑原 靖

適応

  • 軽度な変形でも歩行時に疼痛のある母趾変形
  • 高度に変形した母趾

吸収性骨接合材の利点

  • Super FIXSORB® Screw は曲げ弾性率が骨に近いため、金属インプラントを用いた場合にみられる骨との硬さの違いによる術後疼痛を避けることができる。
  • 固定後にスクリューの余剰部位をカットできるため、皮下突出による術後疼痛を避けることができる。
  • 骨置換性を有し生体内で吸収されるため、抜釘等を必要としない。

手術手技

体位 : 仰臥位(大腿部にターニケットを用いて駆血を行う)

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・固有趾神経の同定

ターニケットにて駆血後、母趾内側をMTP関節を含め Midlateral Line に沿い 4〜5cm 程度皮切する。

同皮切では固有神経は背側の軟部組織内に存在することが多く、関節膜まで至ったところで愛護的に展開しながら同定していく。

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・関節の展開と母趾内転筋の切離

関節を切開し、390番メスや Metatarsal Elevator 等を用いて骨膜を剥離し関節面を展開する。骨切りした骨頭が腐骨化しないよう剥離範囲は必要最小限に留める。

次に展開した MTP 関節内より眼科用クレセントナイフやスリットナイフ等を用いて、母趾内転筋の切離を行うが、このとき基節骨に沿わせながら鋭的に切離すると神経を損傷しない。 関節内からのアプローチを行わない場合は 1-2 趾間の足背側を 2cm 程度皮切し母趾内転筋を基節骨より切離する。母趾内転筋切離後、脱臼している母趾を徒手的に内反整復しながら同筋の緊張がないことを確認する。

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・骨切りラインの決定

突出した中足骨骨頭部をマイクロボーンソーで切除し、切除面からキルシュナー鋼線を V の字の頂点となるラインに刺入する。刺入角度はニュートラルポジションと荷重時の変形度合いから予め検討しておき、水平断でやや後方、冠状断でやや下方になるよう決定するとよい。また刺入部位を近位におき過ぎると骨頭の移動可能距離が制限されてしまうため注意する。

・骨頭の移動と固定

Osteotomy Guide を用いて頂点が 60-70 度となるよう V の字に骨切りを行った後、用手的に 1-2 趾の中足骨間を広げながら骨頭を小趾側に移動させる。

キルシュナー鋼線で骨頭を仮固定し、中足骨頭の足底側から足背側に向けガイドワイヤーを挿入する。

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これをガイド下にドリリングをした後、愛護的にタッピングを行い、同部位より吸収性骨接合材を挿入する。

このとき関節軟骨内にスクリューヘッドが少し埋入する程度まで行うと良好な固定が得られる。固定が弱い場合はクロス固定を追加で行う。

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上下に余剰したスクリューはマイクロボーンソーでカットし、骨ヤスリ等で整形する。カットの際、ヘッドを鉗子で掴み、その鉗子に沿ってボーンソーを進めると周辺組織へのダメージを防止できる。

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・軟部組織の再建

関節内と創部をよく洗浄した後、切開した関節膜から U の字型の皮弁を作成する。このとき関節膜が無理なく縫縮可能な程度で皮弁の幅を設定し、かつ先端の血流が悪くならないよう底辺を少し広めにデザインする。

関節膜を縫縮しながら作成した皮弁を足背および近位側に引き上げながら再建するが、このとき中足骨にドリリングを行い骨面に縫着することで関節可動軸を安定させることができる。また過度に矯正しすぎると母趾が内反するので注意する。

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・閉創と固定

皮下および皮膚を縫合し、圧迫固定した後にターニケットを解除する。

後療法

術後出血がないことを確認し歩行練習を行う。歩行時は MTP 関節が可動しないよう な術後用サンダルを使用するか、足底装具の入ったトレッキングシューズ等を使用する。また日常生活は小股でゆっくり歩行するよう指導する。

抜糸後から母趾 MTP 関節の可動訓練を非荷重で行う。

足底装具を用いてのアライメントコントロールができれば、術後 1 ヵ月頃から通常靴での歩行をおこなう。
3ヵ月が経過し骨癒合が確認できればヒール靴やスポーツ等を許可する。

手術のポイント

  • 軟部組織再建において、歩行時の母趾 MTP 関節可動軸を想定しながら適切な部位に皮弁を縫着することで、関節に負荷のかからない踏み返し動作が可能となる。
  • 原因となっている母趾中足骨の形態にあわせて、骨切り方向を変えることで、調整することができる。母趾中足骨が長いために外反母趾となっている場合は、本術式での骨切りのみでは後方移動に限界があるため、近位側の中足骨を一部追加切除する。
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手術前と手術後

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このレポートは医療従事者向けに発行された FIXSOR VIEW を再編したものです。