変形は「原因」ではなく「結果」。
外反母趾という名前から、「母趾が外側に曲がる病気」と考えられがちです。
しかし実際には、母趾が勝手に曲がるわけではありません。足のアーチ構造や、関節の可動性などが原因で荷重のバランスが崩れ、そもそもの骨格構造から荷重が集まりやすい母趾球に荷重がかかることで、結果的に母趾が外側に変形します。関節構造が柔らかいと「外反母趾」、硬いと「強剛母趾」など、同様の原因でも人によって結果は異なります。日本人は関節構造が柔らかい人が多いので、外反母趾に傾きやすいという特徴があります。
「曲がっている=痛い」ではありません
扁平足 ⇒ 外反母趾タイプ
外反母趾の要因として多いのは「扁平足に伴う足裏のアーチ崩れ」。衝撃を吸収する「土踏まず」がなくなり、足裏が平らになることで荷重が外側に逃げている状態です。
大きな変形を伴うことが多い一方、変形が進むと脱臼し、むしろ痛みは軽減するのが特徴です。
ハイアーチ ⇒ 外反母趾タイプ
少ない割合で、土踏まずが極端に高い「ハイアーチ」の外反母趾も存在します。
親指の付け根に過度な負担がかかり、見た目の変形は軽度ですが、関節に持続的なストレスがかかり常に痛い状態が続くことが多いです。
大切なのは、外反母趾を角度や見た目だけで判断しないことです。関節の位置関係、荷重のかかり方、母趾MP関節の動き方を見なければ、本質的な改善には繋がりません。
本当の問題は「母趾が使えていないこと」
本来、歩行時には母趾でしっかりと地面を蹴り、身体を前へ進めます。
しかし外反母趾になる足では、足のアーチ構造が変化し、母趾球に過剰な負荷がかかった結果、母趾中足骨が内側へ逃げ、MP関節が本来の位置で機能しにくくなります。すると、歩くときに母趾へうまく荷重がかからず、地面を蹴る力が弱くなります。
この代償として、2趾・3趾に過剰な負担がかかり、タコや魚の目、膝や股関節への負担が増し、歩き方全体の崩れとして現れることがあります。
足裏のアーチが崩れる
母趾球に負荷が集中する
第1中足骨が内側へ逃げる(外反母趾)
母趾MP関節が機能しにくくなる
母趾で地面を蹴れなくなる
2趾・3趾、膝、股関節へ負担が広がる
変形ではなく「機能」の治療を。
当院では、外反母趾を単なる足先の変形として扱いません。
評価の中心は、母趾がどれくらい曲がっているかだけではなく、足のアーチ、荷重位置、歩行時のバランス、母趾MP関節の可動性、足関節の可動域、膝・股関節・体幹の筋力などです。
これらを総合的に確認することで、「なぜその変形になったのか」「どこに過剰な力がかかっているのか」「何を改善すれば痛みや負荷、再発リスクを抑えられるのか」を見極めます。
- 足アーチの状態
- 荷重位置・立位バランス
- 歩行時の重心移動
- 母趾MP関節の可動性
- 足関節の可動域
- 膝・股関節・体幹の筋力
- 靴との相性
- タコ・魚の目・陥入爪などの合併症
専門チームで、総合的な治療とケアを
当院では、医師の診断と治療に加え、看護師によるフットケアやセルフケアのアドバイス、理学療法士による歩行機能改善指導、義肢装具士による適合型コントロールタイプのインソール作製を組み合わせ、多職種による連携で総合的に治療とケアを行います。
1. 評価
医師、理学療法士、義肢装具士が連携し、足部の構造と機能を評価します。必要に応じて、立位でのレントゲン撮影を行い、荷重がかかった状態での骨格アライメントや関節の位置関係を確認します。
2. 保存療法(基本)
多くの場合、まずは保存療法を検討します。大切なのは、外反した母趾を無理に戻すことではなく、足のアーチを補正し、荷重時に起こるアーチの崩れをコントロールし、母趾や2趾・3趾にかかる過剰な力を減らすことです。
- インソールによるアーチ補正 [義肢装具士]
- リハビリによる機能改善指導 [理学療法士]
- 矯正ソックスやフットケアグッズなどの補助ツールの提案 [看護師]
- 合併症の診断・治療(足関節、リスフラン関節、陥入爪、足底腱膜炎、胼胝など) [医師]
3. 手術
手術は「最後の手段」と思われがちですが、症状によっては最初からお勧めすることもあります。
変形で靴が履けない、痛みが強く日常生活に支障がある、見た目の変形を改善したいなど、患者さんによって症状や希望はさまざまです。当院では、患者さんの困りごとや価値観を確認しながら、手術を行うかどうかを一緒に検討します。手術を希望されない方に無理に勧めることはありません。
ただし、合併症や再発のリスクもどうしてもありますので、経過の観察や、術後のインソール使用、負荷コントロールが重要です。
このような方はご相談ください
- 外反母趾が痛い
- 変形が進行している
- 靴が当たってつらい
- タコや魚の目を繰り返す
- 手術を勧められて迷っている
- 手術をしたいが断られている
よくある誤解「外反母趾は治すもの」
当院では、外反母趾は「変形を治すもの」ではなく「コントロールするもの」と考えます。「変形の原因となった負荷をどう抑えるか」のコントロールを行うことは、機能の改善だけでなくその後の「負荷の連鎖」への対策にもなります。
手術をした場合も、再発リスクを抑えるためにも、コントロールを行うことが重要です。足のアーチ崩れが主な誘因となるため、インソールによる補正で、荷重時のアーチ崩れを補正することは、治療の大前提となります。
費用の目安(保険3割負担の場合)
| 初診+評価 | 約5,000円 |
|---|---|
| インソール作製 | 約25,000円 |
| 通院回数 | 全3回程度 |
| フットケア | 2,000円/回 |
| リハビリ | 1,500円/回 |
※保険3割負担の場合の目安です。診察内容、検査内容、治療内容によって費用は異なります。
外反母趾手術実績
(2025年1月1日〜2025年12月31日)
症例数
193人
手術足数
326足
手術趾数
385趾
平均年齢
59.1歳
年齢中央値
60.0歳
男女比
女性91.7%(177名) / 男性8.3%(16名)
担当医

桑原 靖
形成外科専門医 /
足のクリニック表参道 院長
水・金曜日 診療

飯村 剛史
形成外科専門医
火・木曜日 診療

庄司 真美
形成外科専門医
金曜日 診療
外反母趾外来のご予約
WEB予約またはお電話にてご予約ください。
WEB予約の場合は、該当する診療科目または担当医を選択してください。
お電話の場合は、「外反母趾外来の受診希望」とお伝えください。
電話:03-6434-1082
受診時にあるとよいもの
普段履いている靴、インソール、過去の画像検査や治療歴が分かる資料があると、荷重のかかり方や靴との相性をより具体的に確認できます。
ご相談のポイント
見た目の変形だけでなく、痛みの場所、歩きにくさ、タコ・魚の目の有無、手術への迷いなども、診療方針を決める大切な情報になります。