足のコラム

外反母趾の本当の原因

2026.10.2
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フットエイジング
〜足も老化する〜
第10回/全20回

足の悩みを、再び「他人事」にするために

足の悩みは、自分が経験しないかぎり、なかなかそのつらさを想像できないものです。

初期の外反母趾では、歩いて地面を蹴り返すたびに、親指の付け根に痛みが生じます。しかし、見た目の変化が乏しいため、医療機関を受診しても積極的な治療に至らないことがあります。その後、関節が脱臼すると変形は一気に進みますが、皮肉にも親指の痛みは軽くなることがあり、この段階でも経過観察となりがちです。

ところが、手術の際に関節内を確認すると、初期であっても親指の軟骨がすり減り、骨同士が擦れ合っていることがあります。外見上は軽症に見えても、本人が感じている痛みには明確な理由があるのです。

外反母趾が進行する仕組みを、順を追って説明しましょう。
まず、①足のアーチ構造が崩れると、②力学的な負担が親指の付け根の関節に集中します。初期には関節内の圧力が高まり、ときどき痛む程度ですが、無理な蹴り返しを繰り返すうちに軟骨が傷み、炎症を起こします。
さらに進むと、土踏まずが内側へ倒れ込むように、③アーチ全体が横回転しながら崩れていきます。その結果、親指の付け根には、関節技をかけられたような④ねじれの力が加わります。関節が柔らかい足では、この力に耐えきれず、⑤アーチの大黒柱である母趾中足骨が内側へずれ、関節が脱臼します。
脱臼によって親指の痛みが軽くなっても、問題が解決したわけではありません。それまで親指で受け止めていた荷重が、今度は⑥人差し指の付け根に集中し、新たな強い痛みを生じることがあります。

進行を抑えるには、インソールで足のアーチ全体を下から支え、靴下やサポーターなどを用いて、母趾中足骨が内側へずれにくい状態をつくることが大切です。
すでに脱臼した関節には、骨切り手術が有効な選択肢となります。骨を正しい位置へ戻すだけでなく、再発を防ぐために関節構造も補強します。術式や入院期間は医師によって異なりますが、私の場合は両足を同時に手術し、入院期間は3~4日程度です。

手術は「最後の手段」と考えられがちです。しかし、それによって長年の痛みや靴の悩みから解放されるのであれば、状況によっては早い段階で検討する根本治療にもなり得ます。
足の悩みを再び「他人事」にできるほど快適な日常を取り戻すためには、患者さんだけでなく、医師も正しい知識を持つことが大切なのです。

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