足の相談室

レトロニキアの手術のタイミング

ささきさん

10代 女性

関東地方

宇都宮在住の高校1年生です。

中学2年生のとき、スキー教室で履いたスキー靴が足に合わず、両足の親指が痛くなってしまいました。しばらくすると患部が赤くなり、爪の根元から膿が出るようになったため、皮膚科を受診し、お薬を処方していただきました。

その後、しばらくすると肉芽のようなものができてしまいました。定期的に同じ皮膚科へ通院していましたが、膿や肉芽がなくなっても、爪の縁が指の肉に当たり、痛みや赤みが生じてしまいます。

担当の先生からは、「爪を伸ばしてスクエア型に切れば当たらなくなるので、爪が伸びるのを待ちましょう」と言われました。しかし、いくら待っても爪が伸びないため、スクエア型に切ることもできず、写真のように爪が何層にも重なったような状態になってしまいました。

担当の先生に、「爪が伸びず、ずっと痛みが続いていて困っている」と相談しても、「伸びるのを待つしかないですね」としか言っていただけず、すでに1年以上が経過しています。

現在も痛みがあり、「爪が伸びない」と検索したところ、レトロニキアという病気があることを知りました。もしかすると自分もレトロニキアなのではないかと思い、ご相談させていただきました。

もしレトロニキアだった場合、治療できる医師が少ないようですが、宇都宮で対応していただける医療機関や先生はいらっしゃいますでしょうか。
院長

桑原 靖

ご記載いただいた経過と写真を拝見する限り、レトロニキア(retronychia:爪の根元側への陥入)を疑います。

レトロニキアは、外傷や靴による反復した圧迫などをきっかけに爪の前方への成長が止まり、その下に新しい爪が重なってくる病態です。重なった爪の根元が周囲の皮膚を内側から圧迫するため、爪が伸びないだけでなく、爪の根元の腫れや痛み、肉芽、場合によっては排膿を繰り返します。

今回の
・スキー靴が合わなかったことをきっかけに発症した
・両足の親指に症状がある
・爪が1年以上ほとんど伸びていない
・爪の根元に炎症や肉芽が生じた
・爪が何層か重なったように見える
という経過は、レトロニキアの特徴とよく一致します。一般的な陥入爪は爪の側縁が皮膚に当たる病気ですが、レトロニキアでは問題が爪の根元側にあるため、爪を伸ばしてスクエア型に切るだけでは改善しにくいことがあります。ただし、そもそも現時点で爪が伸びないので、それはできないと思いますが、、、

いずれにしても、軽症・初期のレトロニキアでは、靴による圧迫を避けることやテーピング、ステロイド外用などの保存的治療を行う場合があります。一方、1年以上爪の成長がみられず、痛みが続いている今回のような場合には、障害となっている爪甲の根本の一部のみを除去する手術を検討するのが妥当だと思います。

過去の症例をまとめた系統的レビューでは、保存的治療で治癒した割合は約41%、外科的に爪甲を除去した場合は約78%と報告されています。ただし、これらは主に小規模な症例報告を集めた結果であり、すべての方に同じ結果を保証する数字ではありません。また、手術後に爪の変形が残る可能性や、再発する可能性もあります。

当院で手術を行う場合は、局所麻酔をしてから麻酔が十分に効くまで10分程度待ち、実際の手術時間は通常5分以内が目安です。手術の可否については、診察時の状態を確認したうえで判断します。

宇都宮周辺の個々の医療機関については詳しく存じ上げませんが、形成外科、または爪の外科的治療を扱っている皮膚科であれば、対応してもらえる可能性があります。受診前に「レトロニキアの可能性を指摘されており、必要であれば手術で対応してもらえるか」と電話で確認するとよいでしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

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