足の相談室

子どもの外反母趾

10歳未満 女性

関東地方

5歳11か月の女の子です。

母も祖母も外反母趾のため遺伝する可能性が高いところ、最近足の形が外反母趾っぽくなってしました。また、立っているとき、親指に重心がかかっているように見えます。土踏まずも少し低いように思います。ただ、本人的には痛みや違和感はないとのことです。

近所の整形外科でレントゲンを撮ったところ、角度は18度であり、20度未満であることから、様子見となりました(足指じゃんけんは自宅でしましょうとのこと。)。半年後、一年後に進行していたら様子を見ましょうとのことでした。

ただ、この先生はあまり外反母趾は詳しくないということが気になっています。
5歳11ヶ月という年齢を鑑み、しばらく様子見で問題ないでしょうか。
院長

桑原 靖

ご相談ありがとうございます。

まず結論から申し上げますと、お写真やレントゲン所見を拝見する限り、現時点で慌てて治療を行う段階ではなく、経過をみるという方針自体は妥当だと思います。

ただし、ご家族に外反母趾の方がいらっしゃるとのことですので、将来的に同様の変形が進行する可能性は十分に考えられます。

外反母趾という名前から、「親指が曲がる病気」「親指そのものに問題がある病気」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。本当に起きているのは親指の異常ではなく、足全体のアーチ構造の崩れです。その結果として親指の付け根にある骨が内側へ開き、押し出されるように親指が外側へ向いて見えるようになります。つまり、曲がった親指は原因ではなく、足の構造変化によって生じた結果なのです。

また、外反母趾は生活習慣だけで生じるものではなく、生まれ持った骨格や関節の柔らかさが大きく関与しています。そのため、お母さまや祖母さまに外反母趾がある場合、お子さんにも似た足の特徴がみられることは決して珍しくありません。

今回のお写真を拝見すると、現時点では典型的な外反母趾というよりも、まず扁平足によって足のアーチが低下し、その影響で親指が回旋している状態のように見受けられます。実際、多くのお子さんでは、このような足の状態から成長とともに徐々に成人型の外反母趾へ移行していきます。

そのため、この時期に注目すべきなのは親指の角度そのものではなく、むしろ足のアーチ構造です。成長期の子どもの足はまだ柔軟性が高いため、早い段階からインソールなどを用いてアーチを支えてあげることで、足の構造的な崩れを抑えられる可能性があります。そして、それが結果的に将来の外反母趾の進行予防につながることも期待できます。

もちろん、インソールを使用すれば必ず外反母趾にならないと断言できるわけではありません。しかし、将来的に外反母趾になる素因を持ったお子さんに対して、何もしないで経過を見るよりは、足のアーチを適切に保持しながら成長を見守る方が理にかなっていると私は考えています。

したがって、現在痛みがなく、角度も18度であることから緊急性はありませんが、「まだ小さいから様子を見ましょう」で終わるのではなく、足の機能やアーチ構造を評価したうえで、必要に応じてインソールなどの予防的な対応を検討してもよい時期ではないかと思います。

将来外反母趾になるお子さんの足は、大人のような外反母趾の形から始まるわけではありません。むしろ最初に現れるのは扁平足やアーチの低下であり、今回のお写真もまさにその段階を示しているように見えます。その意味では、今は変形した親指を心配する時期というよりも、足全体の土台となるアーチ構造に目を向けることが大切だと思います。

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